はじめに:投資で利益が出たら「税金」が関係する
つみたてNISAや一般の投資信託、株式投資などで利益が出たとき、避けて通れないのが「税金」と「確定申告」です。
「NISA口座なら税金はかからない」と思っていても、課税口座での取引や売却益がある場合は、きちんと理解しておく必要があります。
この記事では、投資初心者の方に向けて「税金処理の基本」「申告不要制度」「損益通算」の3つを中心にわかりやすく解説します。
投資利益にかかる税金の基本
◆ 株式・投資信託の利益には「約20.315%」の税金がかかる
通常の課税口座(特定口座・一般口座)で発生した利益には、
- 所得税:15.315%
- 住民税:5%
合計で**約20.315%**が課税されます。
◆ 利益の対象となるもの
- 株や投資信託を売却して得た「売却益」
- 投資信託の「分配金」や株式の「配当金」
これらはいずれも「譲渡所得」または「配当所得」として扱われます。
「NISA」と「課税口座」で税金の扱いが違う
◆ NISA(つみたてNISA含む)なら「非課税」
NISA口座で運用している分については、売却益や分配金が非課税になります。
ただし、非課税期間終了後(例:20年間)に売却や移管をすると課税対象になるため注意が必要です。
👉 関連記事:[つみたてNISA終了後の出口戦略(売却 or 課税口座移管)── 完全ガイド]
◆ 課税口座の場合は自動的に税金が引かれる
SBI証券や楽天証券などで「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば、利益が出た時点で自動的に税金が差し引かれます。
そのため、基本的に確定申告は不要です。
「申告不要制度」とは?──自分で申告しなくてもよいケース
「源泉徴収ありの特定口座」を利用している場合、証券会社がすべての税計算と納税を代行してくれます。
つまり、確定申告しなくてもOKです。
ただし、以下のような場合は申告したほうが有利になります。
◆ 申告したほうがよいケース
- 複数の証券会社を利用しており、損益通算を行いたい場合
- 株式の配当金を「総合課税」に切り替え、配当控除を受けたい場合
- 年間の所得が少なく、**還付金(払いすぎた税金の返還)**を受けたい場合
損益通算の仕組みを理解しよう
◆ 損益通算とは?
投資で「利益が出た取引」と「損失が出た取引」がある場合、これらを合算して課税される金額を減らすことができます。
これが「損益通算」です。
◆ 具体例
- A銘柄で+20万円の利益
- B銘柄で−10万円の損失
→ 差し引き+10万円に対してのみ税金が課される
◆ 注意点
- 同じ種類の所得内でのみ通算可能
- 株式や投資信託などの「譲渡所得同士」
- 配当金などは「申告分離課税」を選ぶことで通算可能
- 確定申告が必要
- 損益通算を行う場合、確定申告が必須です。
繰越控除で翌年以降に損失を活かせる

損失が出た年に利益と相殺しきれない場合、最大3年間繰り越して控除できます。
これを「損失の繰越控除」と呼びます。
◆ 例
2025年に−30万円の損失、2026年に+40万円の利益
→ 2026年の課税対象は「+10万円(40−30)」になります。
◆ ポイント
- 繰越控除を使うには毎年確定申告が必要です。
- 特定口座で自動課税されていても、申告によって節税効果が得られる場合があります。
投資初心者がやりがちな税金のミスと対策
| よくあるミス | 正しい対策 |
|---|---|
| NISAと課税口座の税扱いを混同 | 非課税枠の範囲を把握し、課税口座は源泉徴収ありを選択 |
| 利益が出たのに申告し忘れ | 特定口座の区分を確認(源泉徴収あり・なし) |
| 損益通算を使わず税金を払いすぎる | 必要に応じて確定申告し、損失を繰り越す |
確定申告の基本手順(初心者向け)
- 証券会社の年間取引報告書を入手
- **国税庁「確定申告書作成コーナー」**で申告書を作成
- 所得や損益通算を入力
- e-Taxまたは郵送で提出
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税金を意識した長期投資のポイント
- NISAを最大限活用して非課税枠を使い切る
- 課税口座でも長期・積立スタイルで売買を減らす
- 分配金より再投資型を選ぶことで複利効果を最大化
税金の仕組みを理解しておくと、長期的な資産形成において「手取りベース」でのリターンを最適化できます。
まとめ:税金を味方につけて、賢く資産形成を

投資で利益が出ると税金が関係してきますが、制度を正しく理解すれば無駄な納税を防ぎ、節税にもつながります。
特定口座の仕組みや損益通算・繰越控除を活用しながら、長期でコツコツ資産を増やしていきましょう。


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